研究課題
基盤研究(C)
肺腺癌の前癌病変に相当するAtypical adenomatous hyperplasia(AAH)の不死化細胞株である+PL16Tと同じ症例の正常気管支上皮細胞から不死化した細胞株PL16Bからそれぞれttotal RNAを採取し、cDNA microarray法によりPL16TにPL16B細胞株にり高発現している2610個の遺伝子群を同定した。このいち上位20遺伝子についてPL16TとPL16Bでの実際の発現を定量的real time PCR法を用いて確認した。Sushi domain containing 2 (SUSD2)とNeuromedin U (NMU) がPL16TにおいてPL16Bよりも10倍以上高発現しているのが確認された。この結果からSUSD2とNMUの2つの遺伝子が腺癌の初期病変現している遺伝子である可能性が高いと考え、肺胞上皮癌(BAC) 7例、BAC成分を含む浸潤癌14例(野口分類Type C)、BAC成分を含まない浸潤癌3例 (同Type D) の切除例についてその発現を確認した。SUSD2は正常肺組織よりもBACで有意に発現が上昇していた(p=0.043)。またBACでの発現が浸潤癌より有意に亢進していた(p<0.01)。NMUは正常組織からBAC-浸潤癌にかけて次第に変現が上昇し、正常肺組織よりもType Cで有意に発現が亢進していた(p=0.043)。しかし正常肺組織とType Dとの間では有意な発現亢進はみられなかった。この結果からSUSD2とNMUはBAC成分を持腺癌の上皮内癌または浸潤癌のマーカーである可能性が考えらられた。そこで2つの遺伝子発現が肺腺癌の予後因子となるかを検討するため、他病死を除く2cm以下の小型肺腺癌133例を用いて免疫染色と予後との関係を解析した。SUSD2では染色陽性率50%以上の症例は有意に予後良好であり(p=0.002)、NMUは陽性率50%以上の症例が有意に予後不良であった(p=0.017)。この結果より、SUSD2とNMUは小型肺腺癌の新たな予測因子であることが示された。今回の研究で予後良好を予測する因子と、予後不良を予測する因子の両方が同時に取られたことは極めて興味深く有意義なことであった。この他に高発現していた2608個の遺伝子群の中にも発癌や進展にかかわる遺伝子が多く含まれると考えられるので、AAH不死化細胞株での発現遺伝子の解析は肺癌の予防を含めた治療に大きく寄与するものと考えられた。今後はこの2遺伝子の解析能解析行っていくと同時に他の遺伝子群の中から新たな予後因子や発癌に関わる因子を解析すべく次年度の科学研究費に応募した
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