本研究は、(1)生体吸収性scaffoldを用いる、(2)multi-potentialな細胞ソースである骨髄細胞を播種する(3)細胞成長因子を徐放して細胞の分化・誘導を行う、という新しく開発された組織工学的手法を血管壁の再生で実現するという新しい試みであり、平成19年度は18年度に基本的なデザインを決定した人工血管を用いて動物実験で評価を行った。 ラット右室流出路移植モデルを用いて、移植2週間及び4週間後の組織学的評価を行った。生体吸収性の人工血管に骨髄細胞を播種することにより、グラフト内の毛細血管の新生が促進された。骨髄細胞播種に加えてbFGFを徐放することによって、毛細血管の新生が更に促進された。また、骨髄細胞播種およびbFGFの添加は弾性線維量を増加させた。 以上の結果から、われわれが新たにデザインした生体吸収性人工血管は細胞成長因子であるbFGFを徐放することにより、血管壁の再生を促すことが示唆された。
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