研究課題/領域番号 |
18591545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (60402856)
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研究分担者 |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40281092)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
片岡 文代 京都大学, 医学研究科, 技術補佐員 (40422943)
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キーワード | 肺高血圧 / 血管新生 / bFGF |
研究概要 |
原発性肺高血圧症は原因不明の進行性で予後不良の疾患である。原発性肺高血圧症の治療としてはプロスタサイクリンの持続静脈内投与やホスホジエステラーゼ阻害薬やエンドセリン受容体拮抗薬などの経口薬の有効性が期待されている。しかし持続静注による生活制限や、またこれらの投薬による治療は、いずれも肺血管拡張効果によるものであり、根本的な治療法としてはいまだに肺移植や心肺手術を行うしかないのが現状である。 われわれは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の全身投与が肺内での血管新生効果を持つことに注目し、共同研究者の田畑らが開発したゼラチンハイドロゲルによるbFGFタンパク徐放システムを肺高血圧症の治療に応用し、さらに患者のQOLは向上のために気道内投与可能なゼラチンハイドロゲル粒子を作製し、モノクロタリン誘導肺高血圧ラットの肺高血圧の進展予防および治療を目的とした研究を進めてきた。 平成18年度では、まず肺高血圧ラットをモノクロタリン投与により作成し、肺高血圧症の進行を評価し、進展予防モデルと治療モデルを確立した。また従来粒子径30μm以上のゼラチンハイドロゲルであったものを数〜10μmのゼラチンハイドロゲル粒子を作成することに成功し、これによりbFGFの気道内徐放投与が可能となった。 まず進展予防モデルについて検討したところ、bFGF気道内徐放投与は、肺高血圧の進行を著明に抑制し、動脈血ガスデータも改善した。組織像では中動脈、小動脈ともに血管新生を促進し、中膜肥厚を抑制した。治療10週後の生存率はbFGF治療群では100%で対照群は0%と著明な差がみられた。この成果は平成18年の米国心臓学会(AHA)にて発表し、現在医学雑誌に投稿中である。 平成19年度では、治療モデルの評価を行う予定である。
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