研究課題
人工酸素運搬体であるヘモグロビン小胞体を用い、動物種と腫瘍をマウスとLewis肺癌として昨年と同様人工酸素運搬体の投与が腫瘍の増殖:に抑制的に働くか否かについて検討した。その結果腫瘍の増殖が抑制されたことが明らかとなり、J Surg Res(2008,Jan Epub ahead)に報告した。昨年の結果とあわせ、人工酸素運搬体を投与して照射を行うことにより、腫瘍の放射線感受性を増強する事実は普遍的なものと考えられた。この機序を明らかとすることにより新たな治療法が生まれると思われた。そこで、今年度は腫瘍の微小循環の変化について検討することとした。微小循環を観察するためにDonryuラットを用いたDorssal skin window chamberを用い、Donryuラットに発生したSyngenicな主要であるLY80を移植し、血管新生について経時的に調べるとともに画像解析を行なった。その結果、腫瘍移植48時間後には腫瘍周囲に新生血管が現れ、また、既存の静脈の拡張蛇行が認められた。腫瘍内を走る血管は毛細血管様であった。実体顕微鏡での観察を容易とするため、シリコンラバーを注入して血管鋳型を作成したが、腫瘍循環領域は容易に破綻するため、灌流圧についての検討が必要である。また、人工酸素運搬体投与時の酸素分圧の変化をレーザー光を励起光とした蛍光の減衰曲線よりも止めたが、腫瘍内組織分圧は一時的に減少した後、徐々に増加し、腫瘍辺縁では投与前に比し上昇を認めたが、腫瘍中心部では減少していた。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
J Surg Res E-pub
Cancer Science 99(6)
ページ: 1274-1278