研究課題/領域番号 |
18591560
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60173647)
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研究分担者 |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 名誉教授 (80051704)
池田 達彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00383802)
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90245506)
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キーワード | 低酸素 / 癌 / 酸素消費率 / 人工酸素運搬体 / 腫瘍循環 |
研究概要 |
生体内では腫瘍では低酸素状況のために放射線感受性が低下していると考えられている。腫瘍近傍の血管での酸素の流入と流出,拡散と消費について検討した。 マウス由来乳がん細胞MMTをマウス背部皮下に移植し、Dorsal Skinfold Chamber(DSC)法を用いて中長期観察が可能な腫瘍循環観察モデルを確立した。腫瘍血流量は腫瘍の増大により細動脈で増加、細静脈は若干減少した。組織酸素分圧は腫瘍の増大とともに低下し、血流が増えているにもかかわらず腫瘍では低酸素であることから腫瘍の酸素消費が活発になっている可能性が示唆された。 血管から腫瘍にどのように酸素が拡散するかについての知見を得るため、Nd-YAGパルスレーザーを10ミクロンに絞り、血管内、血管壁、血管外の酸素分圧を測定、Kroghの円筒拡散モデルを用いて細動脈壁の酸素拡散係数、酸素消費率を測定した。 動物をピエゾ素子で微小に動かせるステージを開発し、リアルタイムで血管内、血管壁、血管外の酸素分圧が測定できるようにした。100%酸素を吸入させて腫瘍循環での細動脈中の酸素分圧が上昇するまでの時間を計測、細動脈による酸素拡散定数はK-2.84E-13[(cm^2/s)(m10_2/cm^3mmHg^<-1>)]となり、筋組織と比較して約1000分の1であった。一方細動脈の酸素消費率はM=3.59「m10_2/100cm^3tissuemin^<-1>」で文献で見られる活発ながん細胞と同程度となった。腫瘍組織では正常組織と比較して細動脈壁の酸素拡散係数が低下したが、細動脈壁の酸素消費率は変化しなかった。以上から腫瘍組織においては細動脈よりの酸素流出は少なくなり、相対的に毛細血管への酸素流入が増加することを示している。
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