研究概要 |
従来より多く使用されてきている圧力センサーは,平板型のリニアアレイ圧力センサーである.このタイプの圧力センサーでは,小型化が図れるため微小な面積であってもその圧力分布が測定できる点で優れている.しかし,共通のダイアフラム上に複数のエレメントが並んでいるため,エレメント間の相互の力学的影響つまりクロストークが問題になる.またこの方式では平板のダイアフラムを使うことからセンサーの感度を上げることも困難である.これらの従来用いられていた平板リニアアレイセンサーにおける感度とクロストークという問題を解決するために新規的な溝付きのリニアアレイセンサーを考案した. 1.溝付きリニアアレイ圧力センサーの開発 ひずみゲージを設置するシリコン基盤形状を見直し,片持ち溝つき形状とすることにより感度とクロストーク特性の向上を試みた.測定条件(センサー全長1mm以下,分解能,0.5mm以下,測定範囲0〜250mmHg以上)を満足する形状について有限要素法を用いて解析重ねた結果10%のクロストークを持って0.5mmの微小圧力分布分解能を実現する圧力センサーを設計した.この設計に基づき実際にフォトエッチング法によりセンサーを試作した.荷重と出力電圧の特性試験のため,試作センサー感圧面全域に一定空気圧を負荷し出力電圧を測定した.その結果,全てのビームにおいて荷重増加に伴い出力電圧が線形的に変化しており,圧力センサーとして適する基本特性を有していることが確認された. 2.血管の力学特性の検討 トノメトリー法を用いた血圧測定装置を構築するためには変形に伴う血管の力学的特性を明らかにしておく必要がある.そこで数値計算のための血管モデル(血管内径5mm,厚さ1mm,ヤング率0.3MPa)を構築して有限要素解析を実施した.さらにラテックスチューブ(内径4mm,厚さ1mm,ヤング率約0.2MPa)を血管と想定して実験的な検証を試みた.両者の結果より実用的な血圧測定範囲において血管内圧とセンサー感圧には線形性が成立していることが確認された.
|