平成18年度はまず末梢血から間葉系幹細胞を選別、増殖ために至適の抗体を検討し、次に骨髄における間葉系幹細胞の増殖とこれらの細胞の末梢血への動員におよぼすG-CSFの効果を検討した。Green fluorescent protein(GFP)発現ラットの尾静脈から2mLの末梢血を採取し、密度勾配法により得た単核球について以下の抗体を用いてFACS解析し、間葉系幹細胞を選別し培養した。そこでまず、培養細胞の接着assayを行なった。次に、培養細胞数を2、4、6日目にカウントして増殖程度を比較検討した。培養7目後に培養細胞の発現型を検討した。特に、我々が開発したmTOR活性抑制法により間葉系幹細胞が筋細胞へと分化するか否かを検討した。用いた抗体は内皮細胞特異的Flk-1、心筋細胞特異的α-sarcomeric actin、平滑筋細胞特異的α-smooth muscle actinである。また、これらの細胞にdexamethasone、β-glycerophosphate、リン酸ビタミンCを投与して骨芽細胞に、dexamethasone、insulin、3-isobutyl-1-methylxanthineを投与して脂肪細胞に、dexamethasone、リン酸ビタミンC、プロリン、ピルビン酸、ITS-Premix、TGF-3βを投与しで軟骨細胞に分化させ、間葉系幹細胞の多分化能を確認した。同様のことを骨髄細胞でも行い確認した。ラットを5日間G-CSF(250μg/kg/day)皮下注射した後、骨髄と末梢血を採取しEACS解析した。前述のごとく間葉系幹細胞の回収率を検討し、接着と増殖および表現型におよぼすG-CSFの効果を検討した。これらの基礎的研究をもとに、19年度はin vitroでの実験に発展させる予定である。
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