研究概要 |
1)LLC/neoとLLC/IL-1βのin vitroでの増殖実験では増殖速度の差は認めなかったが、マウス皮下における増殖実験では皮下移植後20日Rで約4倍の増殖速度の差を認めた。 2)LLC/neoとLLC/IL-1βのマウス皮下における増殖実験でマクロファージ標的薬(CL_2MDP-LIP)投与により、移植後20日でLLC/neoとLLC/IL-1βともに有意に増殖速度を抑制したが、特にLLC/IL-1βの増殖抑制が顕著であった。 3)実験2)での4群の20日目でのマウス皮下の腫瘍を摘出し、F4/80陽性マクロファージを染色したところ、浸潤したマクロファージの数は以下の如くであった。 (1)LLC,/neo+Cl_2MDP-LIP群<LLC/neo対照群 (2)LLC/IL-1β+Cl_2MDP-LIP群<LLC/IL-1β対照群 (3)LLC/neo群<LLC/IL-1β群 さらに、CD-31陽性血管内皮細胞を染色したところ以下の如くであった。 (1)LLC/neo+Cl_2MDP-LIP群<LLC/neo対照群 (2)LLC/IL-1β+Cl_2MDP-LIP群<LLC/IL-1β対照群 (3)LLC/neo群<LLC/IL-1β群 1)から3)までの実験では癌間質における炎症の度合いが高度なほどマクロファージの浸潤が促進され、マクロファージが血管新生に寄与したと考えられ、その結果癌の増殖を促進したと考えられる。 更にin vitro実験でLLC/neo、LLC/IL-1βとマクロファージ細胞株U937の共培養実験ではLLC/IL-1βとU937共培養系が有意にU937由来のVEGF,IL-8、MCP-1の発現促進がみられた。上記共培養系における血管内皮(HUVEC)遊走実験ではLLC/IL-1βとマクロファージ細胞株U937共培養系有意に遊走した血管内皮細胞が多かった。 以上のことより、腫瘍間質での炎症応答が顕著であるほど、マクロファージの浸潤数の増加を来し、その浸潤マクロファージのによりさまざまな血管新生因子(この場合VEGF, IL-8)、ひいては好中球遊走因子(MCP-1)の分泌され、血管が著明に新生され、その結果癌の増殖を促進したと考えられた。
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