研究課題/領域番号 |
18591572
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
矢野 俊介 北海道大学, 北海道大学病院, 助教 (20374481)
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研究分担者 |
黒田 敏 北海道大学, 大学病院, 講師 (10301904)
飛騨 一利 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10238305)
岩崎 喜信 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00113522)
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キーワード | Bone marrow stromal cell / Cerebral infarction / Brain injury / Spinal cord injury / Differentiation / Cell fusion / Transplantation / Axonal regeneration |
研究概要 |
本研究では、骨髄間質細胞(bone marrow stromal cell; BMSC)の移植による神経症状改善の機序解明を目的として行っている。これまでの研究成果としては、まず、BMSCそのものが持つstromal derived factor-1(SDF-1)とその特異レセプターであるCXCR4に注目した。脳梗塞モデルにBMSCを移植すると、SDF-1/CXCR4のノックアウトマウスでは、ワイルドタイプマウスに比べて、移植したBMSCの遊走や増殖が劣っており、このSDF-1/CXCR4システムが移植細胞の遊走、増殖に重要な因子であることを同定し、Brain Res誌(2007)に掲載された。 In vitroの実験系では、BMSCはダメージを受けた神経細胞と共培養すると、正常神経細胞と共培養した時に比べてBMSCの神経細胞への分化が促進されることを解明した。また、これらの細胞形態学的な変化、蛍光染色などの結果、損傷中枢神経内に移植されたBMSCは単一の機序ではなく、細胞融合、移植細胞の神経細胞への分化、神経栄養因子の放出など、様々な機序が関わりあって神経機能の改善をもたらすという事を解明した。この結果はJ Neurosci Res誌(2008)に掲載された。 また、高次機能障害を呈する脳挫傷モデルにおいても、BMSCは高次機能の改善をもたらす事を解明し、Brain Res誌に投稿中である。 現在、ラット脊髄損傷モデルにおいて、BMSCを移植した結果、軸索がどのように再生されているかを、軸索を可視化する軸索とレーサーを用いて評価し、神経回路網の再構築に関わる機序解明を行っている。また、ラット脳挫傷モデルにおいて、移植したBMSCによる細胞機能的再生の観点から、小動物用のPETを用いたバイオイメージングにより、臨床応用にむけた細胞観察技術の確立を推し進めている状況である。
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