研究概要 |
(目的)本研究は,難治性てんかんの外科治療の指標となりうる「てんかん原性域」の可視化に取り組み,またこの領域が大脳内でネットワークを形成し,その複雑さの度合いにより手術成績が変わりうることを証明することを目的としている. (現在までの取り組み)新たな脳磁図(MEG)解析手法であるMCE法と皮質脳波のtopographic analysisによりてんかん性異常波の活動域の解析を行った.国立病院機構西新潟中央病院および新潟大学医歯学総合病院で既に外科治療を施行した難治性部分てんかん症例において,術前のMEGと皮質脳波(頭蓋内留置電極,もしくは術中皮質脳波)の保存データを対象とし,上記の解析法でそれぞれを解析し,症例個々のてんかん性活動の特徴づけを行った.その上で手術成績との関連を調べた.(本解析作業は現在も継続中である.) 現段階までで,MEGおよび皮質脳波それぞれにおいててんかん性異常波に巻き込まれる皮質範囲をカラーマップとして経時的に可視化することが可能になっている.症例ごとに多数のてんかん性異常波を解析し,これらを類似の波形やピークの見られる部位の違いで分類し,加算処理をすることで,個々の症例で見られるてんかん性異常活動パターン分類を施行し,残存活動域と術後のてんかん発作予後との比較によりてんかん原性に関連すると思われる活動域の性質を明らかにするよう試みている.比較的広範囲の皮質を巻き込む異常活動がてんかん原性に関連することは,現在までの解析で明らかになって来ている. (今後の取り組み)これらに皮質下の情報を示す軸索画像を統合して,多数の活動域のネットワークとしての特徴を明らかにして行く.今後手術へ向かう症例にprospectiveに適応して行き,てんかん原性ネットワークの存在を明らかにするとともに,非侵襲的診断法としての使用方法を確立して行く.
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