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2007 年度 実績報告書

細胞外マトリックス蛋白に着目した脳血管攣縮の病態解明と新しい治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18591586
研究機関三重大学

研究代表者

鈴木 秀謙  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90345976)

研究分担者 當麻 直樹  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80362341)
滝 和郎  三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70144368)
キーワードくも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 炎症 / 細胞外基質 / テネイシン / 脳神経疾患
研究概要

SDラットの大槽に自家動脈血を注入し,脳血管攣縮モデルを作成した。脳血管攣縮の評価は脳血管撮影を施行しておこない,脳血管攣縮の経時的変化をグラフ化した。次いで,くも膜下出血後の静脈血および脳脊髄液中の細胞外マトリックス蛋白であるテネイシンC濃度をELISA法を用いて経時的に定量し,脳血管攣縮との関連を評価した。脳脊髄液中のテネイシンC濃度は血腫注入直後にピークとなり,その後,漸減したが,その値は脳血管攣縮より,むしろくも膜下出血後に2次的に生じる脳損傷の程度を反映していた。一方,血液中のテネイシンC濃度は脳脊髄液とは異なる経時的変化を示し脳血管攣縮発生時にピークを示し,血管撮影上の脳血管攣縮の程度と相関し,脳血管攣縮が高度な程,高値を示した。そこで,脳血管撮影後にラットを安楽死させ,脳および脳動脈を採取し,HE染色とテネイシンCに対する免疫染色の2重染色をりおこなった。その結果,テネイシンCは正常の脳底動脈の外膜で軽度に染色されるが,くも膜下出血後,その程度は著明に増強されることが明らかになった。更に,脳血管攣縮を高度に起こした脳底動脈壁では,外膜だけでなく,平滑筋層や内膜でもテネイシンCは高度に染色された。また,テネイシンCの誘導を抑制する効果があるシロスタゾールの投与により,脳血管攣縮の発生が有意に抑制されることを明らかにした。
くも膜下出血後の静脈血および脳脊髄液中のテネイシンC濃度はヒトでも検討し,ラットと同様の経時的変化を示し,脳血管攣縮例で有意に高値を示すことが明らかとなった。
以上より,テネイシンCがくも膜下出血後の脳血管攣縮や脳損傷の病態に関与している可能性がはじめて明らかとなり,シロスタゾールにより治療できる可能性をはじめて示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Possible role of tenascin-C in cerebral vasospasm after aneurysmal subarachnoid hemorrhage2007

    • 著者名/発表者名
      Hidenori Suzuki, et. al.
    • 雑誌名

      Acta Neurochir Suppl (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ラット脳血管攣縮に対するBlack Blood MRIを用いた低侵襲的評価2007

    • 著者名/発表者名
      伊藤 秀記, ら
    • 雑誌名

      脳卒中の外科(増刊号) (In press)

  • [学会発表] くも膜下出血後水頭症と脳脊髄液中テネイシンC濃度との関連2007

    • 著者名/発表者名
      鈴木 秀謙
    • 学会等名
      第32回目本脳卒中学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2007-03-23
  • [学会発表] ラット脳血管攣縮に対するMRIを用いた低侵襲的評価2007

    • 著者名/発表者名
      伊藤 秀記
    • 学会等名
      第23回スパズムシンポジウム
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2007-03-22

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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