研究概要 |
てんかんの脳深部に存在する焦点の検索には、脳血管内脳波が重要な検査法となると思われるが、現在の問題点は専用の血管内導出電極がなく、ある種のマイクロガイドワイヤーを流用せざるを得ないため、脳波収集領域がピンポイントでない、単極誘導しかできないなどの欠点を克服できずにいた。本研究の目的はこれらの欠点を克服すべく、従来開発された脳血管内脳波に用いる血管内導出電極に改良を加え、より安全確実に目的とする脳血管内に留置可能な状態の血管内導出電極を作成し、動物実験にてその安全性と有効性を確認した後、臨床応用を行い、その有用性を検討することである。 本研究として、新しい血管内導出電極を作成し、実験用ブタを用いて脳波記録を行った。新しい血管内導出電極は現在入手可能な最も細いマイクロカテーテルの表面に導線をコーティングする方法で作成した。先端部4極の血管内導出電極として作成したものを用い、実際にブタの大腿動脈から頭蓋底部血管内へと導入し脳波を測定した。同時に行った脳表からの脳波記録と比較し、血管内から脳波が記録されていることを確認した。 我々は既に2,100例以上、本年度も200例近い症例に脳神経血管内治療を行い、技術的には新しい血管内導出電極の臨床応用は十分に可能であったが、近年は難治性てんかんの症例が無く、さらに研究代表者が施設に移動する可能性が出てきたりと、臨床応用に向けての動きを実現化することができなかった。最終目的である臨床応用は時間的制約から十分な結果を得るには到っていないが、今後十分なinformed consentを得た上での臨床応用に期待する次第である。
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