研究概要 |
この研究では遺伝子導入を行わすに骨髄間質細胞、神経幹細胞をneuronへ分化させ、さらに、脳梗塞モデルへ移植後、神経回路再生をコントロールすることを目標にした。骨髄間質細胞の培養に際し、電気刺激を加えることがneuronへの分化を促進するのではないか、という仮説を立て、実際に電気刺激培養を様々な条件で試したが形態学的にneuronへの分化は認められなかった。次に培地にbFGF, CNTF, Forskolinを加えた状態で電気刺激を加えてみたが、形態学的にはneurite様の突起の伸長が見られたが、免疫組織科学的にneuronal cellとはいえなかった。また、電位の向きはneuriteの伸長方向に影響を与える様子はなかった。同じ発想で神経幹細胞にも電気刺激を加えてみが、neurosphereからneuronへの分化は認められなかった。次に電気刺激がneuriteの伸長の速度や方向に影響を与えるかを調べた。ラットの後根神経節を取り出し、パーコール法を用いてneuronを採取した。免疫組織科学的にneuronal cellであることを確認し、35mmDishで培養した。次いで、電気刺激を様々な設定で与え、電位の方向がneuriteの伸長方向に関係するかどうかを調べたが、有意差は認められなかった。Dishをpoly-L-lysinとlamininでコートした場合、電気刺激の有無にかかわらずneuriteの伸長は促進された。これより、neuriteの伸長には、足場となる基質としてpoly-L-lysinとlamininが必要であることがわかった。これは大脳においても髄液中に浮遊するneuronal stem cellに電気的刺激を与えるのみではneuriteの伸長は促進されないことを示唆し、神経回路再生のためには細胞が生着する基質が充分無くてはならないと考察した。
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