研究概要 |
頭蓋縫合早期癒合症,とくに症候群性頭蓋縫合早期癒合症の遺伝子異常については,線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor(以下FGFR))遺伝子を中心に,その変異が報告されている。しかし,遺伝子の異常から,その表現型に至る機序は未だ解明されていない。平成18年度は,患者末梢血からのDNA抽出にQuickgene-Mini80(Fuji Film)を導入し,また,PCR産物の遺伝子異常の検出には,RIを使用しないsingle-strand conformation polymorphism(SSCP)/heterodeuplex法を用いて分析の効率化を図った。その結果,頭蓋縫合早期癒合に両側肘関節の骨性癒合などを認めPfeiffer症候群type2と考えられた1例で,FGFR2遺伝子のexon IIIaに異常を見いだし,その遺伝子型はTrp290Cys(1049:G→T)であった。現在までにFGFR2遺伝子のTrp290Cys変異に関する報告は9例程あり,その表現型は重症のPfeiffer症候群とされているが,今回の症例もこれを支持する結果となった。我々はFGFR遺伝子の異常が同一であっても,その表現型は大きく異なり得ることを報告してきているが,特定の変異については,表現型と遺伝子型に相関が見られる可能性が示唆された。平成19年度も症例を重ね分析を進める。
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