研究概要 |
18年度に行ってきたのは、正常ラット脳血管における血管拡張作用および脳循環改善作用の定量的評価方法の確立であった。全身麻酔下に正常ラットにcranial windowを作成し脳血管をFITC-dextran静脈内投与により可視化して、蛍光顕微鏡的(現有)に血管径と赤血球流速を測定して単一微小血管血流を求めると共に、我々が開発した酸素感受性蛍光薄膜センサー(Itoh et al.,Am.J.Physiol.267:H2068,1994,Yaegashi et al.,Am.J.Physiol.270:H1390,1996など)により脳表の酸素分圧をそれぞれ計測して、脳血管さらには脳循環代謝に対する効果を判定する。これらの方法の検討は、さらに画像解析法を駆使して、より定量的かつ2次元的情報を解析し、本法の有用性を確立した。その方法論を論文形式で発表した。 また脳血管攣縮モデル(クモ膜下出血モデル)の開発に関してはさらに再現性の高いモデルの開発が必要と考え、引き続き続行した。 実験的クモ膜下出血モデルとしてはラットを用い、自己血を脳槽に注入するDelgado et al.(Stroke 16:595,1985)の方法でモデルを作成する。実際の実験に即した手技の確立や微小循環計測法の実地適用などプロトコルの細部についても検討を加え、以降の総合的実験に備えた。
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