研究課題/領域番号 |
18591602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉田 研二 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10316367)
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研究分担者 |
小笠原 邦昭 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (00305989)
小川 彰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10204067)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | くも膜下出血 / 脳血管攣縮 / 炎症 / 形質転換 / 脱分化型平滑筋細胞 / 転写因子 / adrenomedullin / 低ナトリウム血症 |
研究概要 |
くも膜下出血後に起こる脳血管攣縮は灌流域の虚血をもたらし、発生した脳梗塞は患者の予後を決定する最大の因子となるが、血管攣縮機序は確定されておらず決定的治療法は存在しない。本研究ではこの脳血管攣縮の発生機構について解析を行った。 実験動物に対し、くも膜下出血を惹起させたモデルを用い病理学的に解析を行った検討を行った。くも膜下出血群では脳血管周囲及び外膜に炎症細胞浸潤を認め、くも膜下に存在する血腫により炎症が惹起され、これを誘困とし脳血管攣縮がもたらされたことが示唆された。免疫組織学的な検討では、平滑筋細胞の分化マーカーであるカルポニン及びα smooth muscle actinが、攣縮血管の平滑筋細胞で有意にdown regulationを示していた。このことから、従来いわれていたCa依存性の収縮機構とは別に、平滑筋細胞自体が、より未分化な状態への変化、いわゆる脱分化型平滑筋細胞への形質転換が脳血管攣縮発生の重要な機構である可能性が示唆された。さらに攣縮血管において、上記形質転換の転写調節はいかにして行われているかを検討した。平滑筋細胞での分化維持に密接に関わる転写因子SRF、Myocardinの解析では、Myocardinのdown regulationと細胞内局在変化を認めた。くも膜下出血による様々な刺激により、上記血管平滑筋細胞の形質転換は分化・脱分化転写調節の変化によりもたらされていることが示唆された。 臨床的な解析では、くも膜下出血後の髄液環境下における炎症の惹起をもとに、脳脊髄液中のadrenomedullinが有意に増加していることが確認できた。さらに、これらの値と、低ナトリウム血症及び遅発性虚血性神経脱落が有意に相関しており、これらの密接な関連が確認できた。
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