研究課題
基盤研究(C)
慢性脊髄圧迫の状態を作成したラットと、同様に頚部に切開を加えたが脊髄圧迫は作らなかったラットの2群において、体重の差は無かった。圧迫された脊髄(第5、第6頚髄)の重量は、慢性脊髄圧迫群の方が、偽手術群よりも若干少なかったが、危険度5%の統計学的な有意差はみられなかった。慢性脊髄圧迫の状態にあるラットでは、圧迫された部分(第5、第6頚髄)の脊髄の血流が、その頭側(第3、第4頚髄)や、尾側(第7頚髄、第1胸髄)の脊髄に比べ低下していた。偽手術を施しただけで、脊髄の圧迫の無いラットでは、第5、第6頚髄の脊髄の血流はその頭側(第3、第4頚髄)や、尾側(第7頚髄、第1胸髄)と同等であった。脊髄血流の絶対値は個体差が大きく、2群間の比較において危険度5%の統計学的有意差は認められなかった。各個体における脊髄の分節ごとの相対的血流量を比較すると、慢性脊髄圧迫のあるラットと、慢性脊髄圧迫のないラットとの間に統計的有意差をもって、第5、第6頚髄の血流が慢性脊髄圧迫群で低下していることが確かめられた。椎弓切除による影響についての実験を今後行う予定である。これらのことから、脊髄の圧迫により局所血流低下があることが分かった。臨床的には、脊髄血流を低下させる全身疾患の合併が脊髄症に与える影響があることや、血流を改善させる薬物が治療に役立つ可能性があることが示唆される。
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