研究概要 |
1.頭蓋内胚細胞腫瘍(GCT)19例の凍結標本を用い,cDNA arrayによる遺伝子発現の解析を行なった.Bone Morphogenetic Protein-4(BMP-4)が統計学的有意差を持ってnon-germinomatous tumorに高発現していた.BMP-4はextraembryonic ectodermの細胞がgerm cell lineageに入る最初の段階を制御している事が知られている. 2.BMP-4が従来に無いnon-germinomatous GCTのマーカーとなる可能性を探るために免疫組織化学染色を行った. (1)BMP-4の染色性には既知のマーカーであるPLAP,cKit程の特異性は認められなかった.Germinomaにおいては21例中19例が陽性であったが,PLAPあるいはcKitに比べると弱いものが多かった. (2)Syncytiotrophoblastic giant cellについては染色性にばらつきがあり,細胞も少数なので明確には結果が判定できなかった. (3)卵黄嚢腫瘍,絨毛癌でも陽性所見が得られ,むしろgerminomaよりも染色性の強い症例が目立った. (4)奇形腫では,主として上皮成分,神経組織,間質の一部に陽性を認め,特に上皮の反応性が強いようであった.新規マーカーとしての可能性を示唆した. 3.その他にgerminomaとnon-germinomatous tumorで発現に差があった遺伝子として,frizzled,SFRP,Soxllをピックアップした.これらについてcDNA arrayに用いた標本以外のサンプルを用いた免疫組織化学染色を行った. 4.引き続きGCT手術サンプルを収集し12例を渉猟した.
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