研究概要 |
Autotaxin (ATX)がどのようにグリオーマ細胞の浸潤に関与しているかをまずin vitroで再度検証した。マウスグリオーマ203Gを親株とし、これにATXをtransfectionし、いくつかのstable transfectantを得た。これらの親株とtransfectantはin vitroでの増殖曲線等には差がなかった。しかしmotilityに関しては、transfectantはwound assayで、あきらかに運動能の亢進をみとめた。これらについては、さらにin vivoでの性格の差異を確認する実験を行なう一方、203Gをsyngeneic mouse皮下にinoculationした。腫瘍はなかなか生着しなかったため、nude mouseの皮下へのinculationを試みた。一部のmouseで皮下腫瘍を形成したが、well demarcatedであり浸潤性ではなかった。ATXのexpressionとin vivoでの浸潤性とが相関しないかと思われたが、組織所見等より、hostの免疫反応の関与が考えられた。TransfectしたATXはrat ATX c-DNAであり発現されたrat ATXに対してmouseの免疫反応が誘導された可能性が示唆された。Mouse ATXのtransfectantを作成し、それによるin vitro, in vivoの実験を次年度行なう予定である。一方臨床サンプルを用いて抗ATX抗体による免疫組織染色を試みているが、ホルマリン固定での染色条件が条件が一定せず、いまだ基礎実験の段階である。
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