研究課題/領域番号 |
18591615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
森 達郎 日本大学, 医学部, 講師 (00318437)
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研究分担者 |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
川又 達朗 日本大学, 医学部, 助教授 (20234122)
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キーワード | くも膜下出血 / 塩類喪失症候群 / 低ナトリウム血症 / ラット / 血管貫通モデル |
研究概要 |
ラットくも膜下出血(SAH)モデルの作成にあたり、1週間の予備飼育を行った。作成直前に体重測定ならびに採血を行い、吸入麻酔下、中大脳動脈閉塞モデルに類似した方法(フィラメントモデル)でナイロン糸を内頚動脈に沿って進めWillis環部で血管貫通させた。作成6時間の蓄尿(尿量ならびに尿中Naの測定)、体重ならびに採血をおこなった。SAH群11例、Sham群を4例とした。24時間後の採血の後、SAHを確認するため、エーテル麻酔下で脳を灌還流した。SAH群11例のうち、3例で硬膜下血腫を認めた。これら3例はくも膜下腔には出血を認めておらず、貫通部位によって硬膜下に出血が見られるものと考えられた。作成から6時間の尿量ならびに尿中ナトリウム排泄量の増加はSAH群で有意に増加していた。血清ナトリウムは作成前の基礎値と比較して2日目から低下を認め4日目にはSAH群で有意に低下した。体重もSAH群で有意に低下を認めたことから、本モデルにおける病態はナトリウムの過剰排泄に伴う循環血漿量の低下と考えられた。塩類喪失症候群の発現機序としてナトリウム利尿ホルモンが注目され、臨床においてもAtrial natriuretic peptide(ANP)やBrain natriuretic peptide(BNP)の増加が報告されている。本研究ではANP値がSAH群でむしろ有意に低下していた。この事実はANPやBNPが過剰なナトリウム排泄の主因にはなっていないことが推測された。一部の症例で頭蓋内圧(ICP)や局所脳血流、平均血圧の測定をおこなった。ICPは作成直後に平均67.4±17.6mmHgまで急激に上昇し、その後90分は40mmHg前後を推移した。ICPの最高値ならびに高値持続時間と死亡率の間には相関は見られなかった。
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