研究概要 |
平成20年度に本学高度救命救急センターに搬入された入院時GCS5以下70才以下の重症頭部外傷9例に軽度低体温療法を施行した。その際ICPのほかCPP、SjO2、PbtO2をモニターし本療法の有用性について検討した。35℃前後の全身冷却による低体温療法によりICPは低下したが、CPPやSjO2には変化はみられずPbtO2も正常値に近似する傾向を示した。しかし48-72時間後の復温時にはICPの上昇を1例に認め、復温の方法にさらに一考を要すると考えられた。つまり35℃前後の微低体温によりICPは有意に低下し、他のパラメーターにも大きな変動はなく、以前の研究成果の裏付けが可能であった。しかし入院時GCS3,4であった3例は死亡しそのうち2例ではICPコントロール不良、1例で合併した肝炎が重篤して死亡した。生存例の転帰はmoderate disability5例で満足すべき成績であった。一方、今回低体温療法を行った9例のうち3例では15才以下の小児例であった。小児例は3例とも良好な転帰を得たが、1例では35℃の低体温療法を施行してもICP亢進が進行し、両側外減圧術を追加した。
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