研究概要 |
平成18年度と19年度に、収束超音波による腫瘍の壊死、熱凝固作用から生じるとされる抗腫瘍免疫機能の解析を中心に、下記のように固形腫瘍を対象にin vivoで実験を行った。 1.細胞の継代と細胞浮遊液の調整:マウス腹腔内でSarcoma180を継代し、濃度を調整した。 2.超音波照射装置:日立中央研究所製のtransducerと簡易型増幅器、モニターを用いた。 3.肉腫モデルの作成:マウスの背部皮下にSarcoma180細胞3.0×10^5個を注入し作成した。 4.固形肉腫に対する照射実験:固形腫瘍が径2cmになった時点で、収束超音波をxyzstageと超音波モニターを用い、腫瘍中心部に焦点がくるように単回照射した。 5.評価:(1)腫瘍径を経時的に観察すると、照射群では有意に腫瘍径が小さかった。(2)TRAP染色で確認したところ、腫瘍周囲や腫瘍内に浸潤するマクロファージが照射群でのみ観察された。特に壊死周辺部では集族として観察された。同様にCD4またはCD8陽性のリンパ球浸潤が照射群でのみ残存した腫瘍内で観察された。(3)アポトーシスの出現頻度を比較したところ、照射群で有意に増加していた。特に壊死部周囲でしばしば観察された。(4)マウス生存率は照射群が対照群に比べ有意に良好であった。 6.結論:収束超音波照射により抗腫瘍マクロファージやリンパ球の浸潤や腫瘍細胞のアポトーシスが増加するなど、単回照射でも抗腫瘍免疫が賦活化される,と考察した。
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