研究課題
TNF-aは椎間板ヘルニアにおいて主要な炎症賦活を行っている。我々はTNF-aファミリーであるTWEAKの椎間板における作用を検討した。マウス椎間板を用いて、椎間板細胞におけるTWEAKとそのレセプターであるFn14の発現を検討した。次に、顕微鏡下でマウス尾椎間板を摘出し、これらの椎間板を用いた器官培養を行い、TWEAKの椎間板内の作用を検討した。TWEAKはマウス椎間板に発現しており、TNF-レセプターを介さずに分解酵素であるMMP-3を時間依存かつ濃度依存性に誘導することを明らかにした。また、TWEAKを椎間板に作用すると、組織学的かつ分子生物学的にアグリカンの産生が抑制され、椎間板変性を誘導することによるマトリックス分解促進の2つの作用があることが明らかになった。さらに、このTWEAKによる椎間板変性を予防するには、TWEAKの中和抗体とレセプターであるFn14キメラによって可能であった。これより、関節リウマチで行われている生物製剤による治療が椎間板変性においても応用しうる可能性が示唆された。今後は,椎間板変性には血管新生も重要であり、TWEAK刺激による血管誘導因子の解明、MMP-3と血管誘導因子発現のシグナル伝達経路の解明が必須であり、研究を継続していく予定である。また、MMP-3欠損マウスを用いて、MMPの特異的な作用を検討し、詳細な椎間板変性のメカニズムを明らかにしていきたい。
すべて 2007
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Journal of Orthopaedic Research 25
ページ: 1438-1446