椎間板変性における内因性炎症性サイトカインの制御にかかわる物質として、アグリカンを分解する作用があるとされるcalpainに着目し、1)ウシ椎間板組織における局在、2)ヒト椎間板組織における局在及び加齢の影響、3)ウシ椎間板細胞培養系におけるcalpainの細胞外マトリックス代謝に与える影響とcalpain阻害物質が細胞外マトリックス代謝に与える影響、4)ヒト椎間板組織におけるcalpainによるアグリカンフラグメントの存在、について検討した。 1)ウシ椎間板組織における局在:ウシ椎間板組織におけるcalpainの存在を免疫染色法及びウエスタンブロット法にて証明しえた。2)ヒト椎間板組織における局在及び加齢の影響:ヒト椎間板組織におけるcalpainの存在を免疫染色法及びウエスタンブロット法にて証明しえた。椎間板変性が重度となるにつれてcalpainの濃度が上昇した。3)ウシ椎間板細胞培養系におけるcalpainの細胞外マトリックス代謝に与える影響とcalpain阻害物質が細胞外マトリックス代謝に与える影響:プロテオグライカン産生量をDMMB法にて測定した。フロテオグライカン産生量はインターロイキン1アルファなど炎症性サイトカインにて抑制されたが、calpain阻害剤によるその制御効果は認めなかった。4)ヒト椎間板組織におけるcalpainによるアグリカンフラグメントの存在:変性椎間板において、calpainによるアグリカンフラグメントを認めた(ホリクロナール抗体使用)。calpainが椎間板変性に密接に関連していることが推察され、その役割を制御および調節することで椎間板再生アフローチを行いえる可能性がある。今後の研究にてより深いメカニズムの解明を望みたい。
|