研究成果の概要 : 軟骨分解を促進する作用を持つカルパインに着目し、その作用を制御することによる椎間板再生アプローチの可能性を追求した。まずはカルパインの椎間板組織(ウシ尾椎椎間板、ヒト椎間板)における局在を検証した。ウシ尾椎椎間板、ヒト椎間板組織ともに、μカルパイン、mカルパインの存在が認められた。ヒト椎間板細胞においては、カルパインの存在濃度が変性するに従って増加する傾向が明らかとなった。次いで、細胞外マトリックスを分解する作用のあるカルパインの阻害物質が、炎症性サイトカインの存在下でのin-vitro椎間板変性モデルでの細胞外マトリックス代謝にいかなる影響を与えるか、について検証した。炎症性サイトカインを付加することにより、細胞外マトリックス蓄積量が有意に低下し、MMP3の培養液中の濃度も上昇する一方、カルパインの阻害物質であるカルパスタチンを付加しても、細胞外マトリックス産生低下に有意な影響がみられなかった。カルパインがアグリカンを切断する際の切断端を認識する抗体を用いたウエスタンブロッティング解析において、ウシ、ヒトともに、切断端の存在が明らかとなった。
|