本年度は抗癌剤封入FDG(fluoro-2-deoxyglucose)リポソームの作製を行った後、現在、担癌マウスの作製を行っている。 1.抗癌剤封入FDG(fluoro-2-deoxyglucose)リポソームの作製 (1)脂質フィルムの調製 Dipalmitoylphospatidylcholine(DPPC)、Cholesterol、FDGを5:5:2の比率でクロロホルムを溶媒として混合溶解し、エバポレーターを用いて脂質フィルムを調製した。比率に関してはまだ検討の余地がある。 (2)抗癌剤の封入 エタノールを溶媒として薄膜を溶解した後、抗癌剤の塩酸ドキソルビシンを生食に溶解し、ソニケーターで超音波処理を行った。再度エバポレーターを用い溶媒を除去しゲル化した後、ボルテックスミキサーで攪拌し塩酸ドキソルビシンを封入したFDGリポソームを作製した。 (3)大きさの調整 エクストルーダーでリポソームの大きさを100nm以下に調整した。 当初、凍結乾燥法で作製を試みたが、現在は逆相蒸発法に変えて作製している。 2.担癌マウスの作製 マウスの背部にヒト骨肉種から作製されたHuO9細胞(1×10^5 cell/mouse)を移植し、骨肉腫マウスを作製中である。 今後、塩酸ドキソルビシン封入FDGリポソームをマウスの頚静脈より静注し、背部に作製した骨肉腫に対する抗腫瘍効果を判定する予定である。対象群として1)無治療、2)FDGリポソームのみ、3)塩酸ドキソルビシンのみ、4)塩酸ドキソルビシン封入リポソーム(FDGなし)を各群n=6で行うことを計画している。
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