研究概要 |
本研究の目的は骨肉腫原発巣の切除後に抗血管新生療法を行うことによって、肺転移の増殖が抑制されることを証明することである。平成18年度までに、Ad5.CMV-mEndo静注後に血清endostatin濃度が上昇し、生体内の血管新生誘導能が抑制されることを証明した。 平成19年度は、抗血管新生療法の骨肉腫肺転移に対する増殖抑制効果を検討した。 明らかになった知見は以下の通りである。 Ad5.CMV-mEndo尾静脈注入2週後にヌードマウスを深麻酔後に屠殺し、肺転移の状況をAd5.CMV-LacZ静注コントロール群と肺転移の状況と比較した。抗血管新生療法施行2週後の肺転移の数は1×10^7あるいは1×10^8個のウイルス感染群でコントロール群と比較して有意に減少した(LacZ v.s.7 PFU;p=0.002,La Z v.s.8 PFU;p=0.003)。この肺転移の抑制は、血管新生誘導能の低下を伴っていた(LacZ v.s.7 PFU;p=0.0005,LacZ v.s.8 PFU;p=0.0003)。肺転移巣の大きさも1×10^7and 1×10^8個投与群でコントロール群と比較し有意に小さく、抗血管新生療法により転移巣の腫瘍径の増大も抑制された。
|