研究課題/領域番号 |
18591650
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
吉岡 潔子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 主任研究員 (40342993)
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研究分担者 |
伊藤 和幸 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 部長 (20301806)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学研究科, 教授 (60191558)
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キーワード | SSX / osteosarcoma / tumor formation / lung metastasis / NASBA / colony formation / invasion / siRNA |
研究概要 |
滑膜肉腫に特異的な融合遺伝子SS18-SSXのfusion partnerとして単離されたSSX遺伝子は、成人精巣と多種の臨床腫瘍例で発現が報告されており、Cancer testis antigenと考えられている。我々は、ヒト骨軟部腫瘍生検組織内のSSX mRNAをNucleic Acid Sequence-Based Amplificaion(NASBA)定量系を用いて解析、stageの進んだ浸潤・転移症例で高値を示すことを既に報告した。機能解析のために、ヒト骨肉腫細胞株Saos-2、ヒト線維芽肉腫細胞株HT1080にSSXを過剰発現させた安定株を樹立し、浸潤能の増加(親株の3-5倍)、軟寒天中のcolony formationの亢進を認めた。さらに、Saos-2のSSX transfectantsをnude miceに移植すると腫瘤を形成し、病理組織像ではosteoidの形成が観察された(Mockでは腫瘤形成を認めなかった)。またHT1080のSSX transfectantsはnude miceに移植すると親株(1/10)に比べ高率(8/10)に肺転移を認めた。SSXを内因性に発現しているSaos-2およびHT1080にSSX遺伝子をtargetとしたsiRNAを導入すると運動能、浸潤能の低下を観察した。現在、SSXに対するsiRNAを担がんマウスに投与し、その抗腫瘍効果の検討を行っている。さらに、HT1080とSSX導入過剰発現株、SSX siRNA導入抑制発現株を用いてマイクロアレイにて標的遺伝子の検索を行い、MMP-1を含む複数の候補を得ている。SSXは細胞増殖に殆ど影響を与えず浸潤能を制御していること、又腫瘍に限局して発現していることから、SSXの発現を低下させることにより、腫瘍の増殖や転移を抑制できる可能性があり、骨軟部腫瘍の新規分子標的治療の候補と考えている。
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