研究概要 |
2年目はin vitroの研究の結果を受けBcl-2ファミリー分子の機能をノックアウトマウスにおいてin vivoで検証した。 (1)Bcl-2-/-Bim+/-マウス、Bcl-xコンディショナルノックアウトマウスの作製 Bcl-2のノックアウトマウスは腎不全、免疫系の異常を呈し、早期に死亡することが知られており、Bcl-2ホモノックアウトにBimヘテロノックアウトを加えたノックアウトマウスを作成し、Bcl-2の骨組織の役割を明らかにした。その結果、Bcl-2は成体マウスにおいて骨量を維持するのに重要であることがわかった。 Bcl-x遺伝子のノックアウトマウスは胎生致死であることが既に報告されているため、Cre-loxPシステムにより破骨細胞特異的Bcl-xL欠損ノックアウトマウスを作製した。(Bcl-xfloxマウスとcathepsin K Creノックインマウスを交配させて作出。)その結果、コンディショナルノックアウトマウスは月齢を重ねるにつれて骨量が減少した。この結果からBcl-xLは破骨細胞の生存能を促進させる一方で、骨吸収能を抑制していることがわかった。 (2)ノックアウトマウスを用いた破骨細胞分化・活性化・生存のin vitro検討 これらのマウスから骨髄細胞を採取して、破骨細胞を分化させ、活性化(骨吸収能)、生存をloss-of-functionで評価した。その結果、Bcl-2は破骨細胞の分化、骨吸収能、生存能を促進させることがわかった。また、Bcl-2のレトロウイルスを用いたレスキュー実験で、それに対する確認を行った。一方、Bcl-xLはsiRNA,Creアデノウイルス、exvivoの実験によって、破骨細胞分化、骨吸収能を抑制し、生存能を促進していることがわかった。また、Bcl-xLのアデノウイルスを用いレスキュー実験で、それに対する確認を行った。 これらの結果より、破骨細胞においては、抗アポトーシス分子Bcl-2,Bcl-xLがアポトーシスにおいて重要な働きを示すだけではなく、その活性や分化においても寄与していることが証明された。
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