ヒト骨芽細胞様細胞であるNOS-1を用いた実験でβ-tricalcium phosphate(β-TCP)上に速やかに増殖し、さらにmicropore内にI型コラーゲンのタンパク質吸着が数十μの深さまで生じることを鍍銀染色や免疫染色、さらに電子顕微鏡額的検索で明らかにした。このような各種方法論によるタンパク質のリン酸カルシウム内部までの吸着については過去の報告がなく世界的な新知見である。このようにβ-TCPが骨芽細胞様細胞をその表面によく吸着させかつ細胞外基質も豊富に吸着させうる材料であることを明らかにした(生越章他、Orthopaedic Ceramic Implants 26:25-30)。またラットにおけるmicropore構造を持つ材料と、持たない材料の比較検討から、micropore構造が細胞外基質の吸着ないし進入にきわめて重要であり、micropore構造を持つ材料が骨芽細胞系の足場として極めて有効であることを明らかにすることが出来た(有泉高志、生越章他、日整会誌 81:S434)。さらにBMP活性をもつ骨芽細胞様細胞を凍結添加したβ-TCPを移植することで新生骨を優位に形成させうることを証明した。これらの実験結果からはBMP活性を持つ骨粉を添加した場合も同様の作用が可能で、本法による新規人工骨の作成は臨床応用に十分な可能性を持つ方法であることを明らかにした。
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