今回我々は主に以下の三つの実験を通して新たな骨移植法開発の基礎研究を行った。 1)骨再生の担体として骨髄を直接添加したβ-TCPの骨再生力の評価。ラット骨髄をβ-TCPに添加し、背部皮下に移植し、骨形成の詳細な検討を行った。 2)人工骨(β-TCP)のマイクロポア構造と骨形成の関連。犬を用いてβ-TCPに骨髄を添加しマイクロポア構造が骨形成にどのように影響するかを確認した。 3)骨様基質をβ-TCPに添加した場合の骨形成。骨芽細胞様細胞が形成する骨様基質をβ-TCPに添加し骨形成の組織学的解析を行った。 これら実験より新たな知見として以下の成果を得た。 β-TCPに骨髄を添加することで容易にラット皮下で骨形成がもたらされるが、この際骨形成に先立って破骨細胞が形成されている現象を見出した。 移植の足場としてβ-TCPは有用であるが、5μm以下のMicropore構造を持つ材料が、持たない材料に比しより有効な骨形成をもたらすことをみいだした。 β-TCPに骨様組織を添加することでSCIDマウス皮下内に移植後2週という早期から骨形成が確認できた。 β-TCPに骨髄細胞と骨組織を添加する新規人工骨移植法は骨再生の有力な新規法となる可能性が高い。
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