本研究の目的は、高齢者を対象に老年症候群の有病率と日常生活動作の自立度を調査し、健康長寿を実践するために不可欠な要素について明らかにすることである。本研究では老年症候群の中でも特に骨粗鬆症と変形性関節症による障害に焦点をあて、現在3つのプロジェクトを平行して行っている。 プロジェクト1)高齢者における骨粗鬆症の罹患率を明らかにする。 琉球大学医学部附属病院整形外科を受診した50歳以上の女性を対象に、問診票で現在の日常生活動作の自立度を確認するとともに、骨密度の測定と胸腰椎レントゲン写真、骨代謝マーカーを測定し、骨粗鬆症の罹患率がどの程度なのか、また自立度と骨粗鬆症との関係についてデータの収集を行っている。 プロジェクト2)大腿骨頚部・転子部骨折を受傷した患者の予後調査 2004年度に沖縄県内で大腿骨頚部・転子部骨折を受傷した患者、総数1343人の予後調査を行っている。受傷2か月後の短期の予後調査の結果では、受傷前のレベルまで改善した者の割合は約6割であった。現在受傷1年以上経過した後の予後調査を行い、大腿骨頚部・転子部骨折を受傷したことにより、どの程度日常生活動作の自立度に影響をきたしたのか検討を行っている。 プロジェクト3)住民検診に参加した高齢者を対象に老年症候群の有病率と日常生活動作の自立度調査 沖縄県内の市町村に協力を依頼し調査を行う予定であるが、個人情報の保護の観点から、市町村の協力が十分得られていないのが実情である。調査実現に向けて現在関連の部署と協議を行っている。
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