研究概要 |
2004年度に沖縄県における大腿骨近位部骨折患者の全数調査を行い、1987/88年度に行った同様な調査結果と比較したところ、総骨折数は469から1349と約3倍に増加していた。最近のアメリカや北欧などでは発生件数の横ばいあるいは減少が報告されており、沖縄県における最近の動向を明らかにするために、2002年から2008年までの経年的変化について調査を行った。ただし、全数調査ではなく定点調査である。2004年の全数調査では全35病院からデータを収集したが、今回の調査では22病院から手術症例のみ(保存治療を除く)を収集して比較検討した。その結果、大腿骨近位部骨折の手術施行患者は、838(2002年),870(2003年),958(2004年),1079(2005年),1119(2006年),1191(2007年),1160(2008年)と2007年までは増加し、2008年に初めて前年を下回ったことが明らかとなった。この減少が一時的なものか、増加に歯止めがかかった理由としてどの因子が最も影響を与えたのか今後明らかにする必要がある。現在、大腿骨近位部骨折を受傷した患者の受傷機転、骨粗鬆症治療歴・痴呆の有無について調査を行っている。 当院外来通院中の骨粗鬆症患者(80歳以上)を対象に、開眼片脚起立時間と転倒の既往について調査を行ったところ、転倒の既往がある患者の総数は24人で開眼片脚起立時間は7.8秒、転倒の既往がなかった患者の総数は35人で開眼片脚起立時間は14.5秒であった。またスパイナルマウスを使用した脊椎の可動性に関する調査では、転倒の既往がある者は脊椎が全体として後彎している者が多く、転倒の既往がない者と比較して可動性の減少が認められた。 一般検診における踵骨骨密度計を使用した骨粗鬆症患者の割合と老年症候群の徴候に関する調査であるが、まだ研究への参加者数が少なく、十分な結果が得られるまでに至っていない。
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