温熱刺激が関節軟骨に与える影響を明らかにするため、日本白色家ウサギの膝関節にマイクロウェーブ照射器を用いて0-60Wの、20分の温熱刺激を与えた。8時間後に膝関節から関節軟骨を採取し、タンパクおよびRNAを抽出した。対照として温熱刺激を加えない膝関節を用いた。HSP70のmRNAおよびタンパクの発現は対照と比較して40W以上の温熱刺激を加えた群で亢進し、発現量は刺激強度に依存的であった。プロテオグリカンおよび2型コラーゲンのmRNAの発現は対照と比較して40Wの温熱刺激で最も亢進した。この研究により体外からの温熱刺激が関節軟骨に到達することが示され、関節軟骨の代謝を亢進することが明らかとなった。 レーザー刺激が関節に与える影響を明らかにするため、nano pulse YAGレーザー(波長532nm、10Hz)をシャーレで培養したウサギ滑膜細胞に照射し、細胞の反応を観察した。レーザーパワーは一定とし、照射時間を変更することにより、0〜15J/cm^2のエネルギーレベルでレーザー照射を行った。レーザー照射を行わないものをコントロールとして細胞増殖、培養液中のヒアルロン酸分泌について検討を行った。当初、細胞数の増減が観察されると考えていたが、今回の実験では、細胞の変化は対照群と比較しみとめなかった。また、培養液中のヒアルン酸分泌に関しても増減を認めなかった。これらのことから、今回使用したレーザーの波長では滑膜細胞に吸収されず、透過している可能性が示唆されたが更なる検討が必要であると考えた。
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