研究課題/領域番号 |
18591673
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
高倉 義典 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40094578)
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研究分担者 |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30316070)
熊井 司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40382288)
大串 始 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門・組織・再生工学グループ, グループ長 (80213669)
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キーワード | 腱・靭帯骨付着部 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 / アポトーシス |
研究概要 |
腱・靱帯骨付着部の再生に適正な条件を明確にするために、まず、家兎の肩関節および膝関節を用いて腱・靭帯骨付着部欠損モデルを確立させた。当初はアキレス腱踵骨付着部に行う予定であったが、アキレス腱は他の部位に比べて欠損を作製するのが手技的に困難であり、棘上筋の上腕骨付着部、膝蓋靭帯の脛骨付着部が欠損部の作製に適していること、アキレス腱と同様に骨付着部にも強い力学的負荷がかかっていることから代用できると考えた。まず、欠損モデルの修復過程を先行実験として行った。 腱・靭帯骨付着部における組織学的観察は欠損直後ではまず、力学的負荷の消失のために靭帯・腱およびその骨付着部の構造は線維軟骨細胞のアポトーシスにより退行性変化を生じていた。約2週後より未分化な間葉系細胞が滑液包側より欠損部を充填するように増殖していき、さらに欠損部に血管の増生が認められた。約8週後より線維芽細胞およびコラーゲン線維が欠損部に置き換わっていくが、約12週後でも細胞およびコラーゲン線維の方向は一様でなく、乱れており、依然として本来の組織学的構造に成り得ていないことが分かった。 免疫組織学的観察でも軟骨基質を示すコラーゲンIIおよびアグリカンは欠損作製後、消失し、12週後の時点でも健常な骨付着部で認められるコラーゲンII、アグリカンの局在は認められなかった。 力学的試験では2週、4週と比較して、12週での引っ張り強度は明らかに大きい傾向が認められるが、コントロール群と比較して有意に小さいことが分かった。 これは組織的所見と一致しており、12週では完全な靱帯および骨付着部が再生されていないと言える。 これらより腱・靭帯骨付着部の損傷に対して修復を促進させる何らかの働きかけは欠損作製後1〜2週までの期間に行うのが良いのではないかと考えられた。つまり本研究では次の段階として、骨髄間葉系細胞め投与を欠損作製後1〜2週で行い。それによって腱・靭帯骨付着部の再生、修復がより早期に、より組織学的、力学的に近いものができるということをコントロール群、sham群と比較、検討していく予定である。
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