近年、急速な勢いで人口の高齢化が進んでいる。これに伴い運動器疾患の中でも、脊椎や関節の変性疾患が増加し、欧米と同様にわが国でも変形性関節症患者が急速に増加している。また、関節の炎症性疾患の代表である関節リウマチは、その分子生物学的背景が明らかにされ、抗体治療をはじめとする生物学的製剤による治療がその主体に変化しつつある。これら関節炎を伴う疾患に共通のメカニズムが、関節構成体の一部である滑膜における血管新生であり、本研究ではこれら関節構成体における血管新生の阻害ならびに、血管新生阻害が軟骨代謝に与える影響について、プラスミノーゲン関連遺伝子を中心に解析を行った。その結果、関節炎に伴い関節軟骨にプラスミノーゲン関連遺伝子タイプB(plasminogen-related gene B:PRG-B)の発現が増加し、この組みi換え蛋白であるrecombinant plasminogen-related protein B:rPRP-Bは滑膜における病的血管新生を抑制することが明らかとなった。さらに、本研究によりrPRP-Bは軟骨細胞において、血管新生と深く関連するVEGFの発現を低下させ、軟骨の変性を抑制することが明らかとなった。
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