研究概要 |
【目的】マウスの成長板(骨端線}における遺伝子発現を解析し、軟骨の増殖・分化で働く径とそれに含まれる遺伝子を検出した。 【方法】9齢目マウスの脛骨近位成長板の静止層、増殖層、成熟層、肥大層、各層における遺伝子の発現を調べた。層間で発現値が大きく変化する遺伝子のリストに対して、クラスター解析及びシグニチャー解析を行った。 【結果】4層間で発現の変化する遺伝子を2427個抽出し、クラスター適斬により発現パターンをもとにグループ分けを行った。併せて、公共に入手可能なマイクロアレイのデータと上記2427遺伝子の比較を行った。具体的には、Bmp2,Ctnnb,Dlx1,Fgfr2,Lefl,Wntlと関連したアレイ解析から各分子の影響で発現変化する遺伝子群を抽出し、前記2427遺伝子の発現クラスター解析内への分布を評価した。その結果く増殖層のみで発現が上昇するパターンを持つクラスターにBmp2,(Ctnnb,Leflの下流趨伝子が有意に偏在することが示された。また、細胞増殖に関連する遺伝子もこのクラスターに濃縮しており、増殖層細胞の表現型に矛盾しない。上記から増殖層でCtnnb(βカテニン)・Lef/Tcf4のパスウェイが働いていることが示唆されたため、βカテニンの染色を同齢マウスの成長板で行った。βカテニンは増殖層から成熟層にかけて軟骨細胞の核内に染色され、前記シグニチャー解析と矛盾しない結果となっている。他のWntパスウェイ遺伝子の発現も各層で様々な変化を示しており、Wntパスウェイ遺伝子制卸の成長板における重要性が示唆される結果となった。 【結論】マイクロアレイによる成長板の網羅的遺伝子発現解析により、成長板軟骨の増殖・分化に関わると考えられる遺伝子の候補を選び出すことが出来た。
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