ラットNaV1.8遺伝子のコーティング配列からRNAiのターゲットとなる19塩基対を5箇所選択し、加えてNav1.1、1.2、1.3、1.7に共通して存在する配列を選び出し、汎テトロドトキシン感受性配列とした。これらの配列のセンス鎖とアンチセンス鎖を短いループ配列によりつなげ、DNAテンプレートから一つのプロモーターにより転写されて、二本鎖RNAと似たshort hairpin RNAを生じるようなレンチウィルスベクターの作成を完了した。 ShRNAを発現している細胞において、Nav1.8が選択的に阻害されることを、タンパクレベル、messenger RNAレベル、機能的レベルにわたる解析により確認した。 ShRNAレンチウィルスベクターは、Enhanced green fluorescence proteinを同時に発現するようにデザインされ、ウィルスが導入された細胞を蛍光下に観察できるようにした。 Nav1.8遺伝子を恒常的に発現させたHEK細胞にshRNAレンチウィルスベクターを導入し、ウェスタンブロット法を用いてNaV1.8タンパクレベルを解析したところ、ターゲット特異的なタンパクレベルの減少が時間依存性に観察された。 次いで、ラットくも膜下腔へカテーテル挿入し感染を試みたが、ウィルスのタイターが低いか、挿入位置の確認がはっきりしないかで、組織学的確認を行うに至らなかった。DRGへの直接注入も試みられたが、手技が難しく、未だ実験技法が確立されていない。 Western-Blottingにより評価を行ったが、抗体があまりよくないため効果がはっきり判定できていない可能性がある。現時点では、高いタイターのウィルスを得る技術が確立されたため、本研究が更に進展する可能性はある。
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