Nav 1.8遺伝子を発現させたHEK293細胞にshRNAレンチウイルスベクターを導入し、ウェスタン・ブロット法でNav 1.8を解析した結果、蛋白レベルの減少が観察された。次にラット後根神経節細胞でshRNAレンチウイルスベクターの効果をみた結果、免疫組織学的解析と逆転写PCRにより、ターゲット特異的な抗Nav 1.8抗体反応蛋白とRNAレベルの減少が観察された。さらにテトロドトキンを使用してテトロドトキン感受性ナトリウムチャネルを除外し、また一定の電圧を加えNaV 1.8のみが活動するような条件でパッチクランプ法を施行した。その結果、shRNAが導入されたラット後根神経節では、NaV 1.8電流の特徴は不変だったが、電流の密度のみが減少していた。本研究では、shRNAを神経細胞に導入しているが、この方法は、DNAをテンプレートとして細胞内でsiRNAを産生できる利点をもつ。レンチウイルスは非分裂細胞である神経細胞にも効率よく導入されるので、神経疾患や神経因性疼痛の新しい遺伝子治療のアプローチとして有用である可能性を明らかにした。
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