研究概要 |
平成18年度は,主にラットを用いたモデルの構築をおこない,虚血時間の調節と脱血により,痙性麻痺,弛緩性麻痺を作成することが可能となった。平成19年度は,脊髄虚血に対してポストコンディショニングの効果があるか否かを確認する実験をおこなった。Wistar系雄性ラット(350g)の左大腿動脈より2Frのバルーンカテーテルを挿入し,逆行性に進め左鎖骨下動脈分岐直下でバルーンを膨らませることにより大動脈を閉塞させ同時に,あらかじめ右総頚動脈に挿入したカテーテルから自然脱血をおこなうことにより脊髄虚血を負荷する。12分間の虚血により痙性麻痺となるので,コンドロール群では12分間の虚血後直ちに虚血を解除し,脱血した血液を返血する。ポストコンディショニング群では,虚血解除後,20秒の灌流と20秒の再虚血のサイクルを3回負荷した。運動神経の麻痺は,Motor-deficit-indexで評価した(0点:完全麻痺,5点:麻痺なし)。結果(median rangeにて表記),コントロール群(n=8)では,0(0-3)であったのに対して,ポストコンディショニング群(n=8)では 5(3-5)であり,ポストコンディショニング群では,コントロール群よりも虚血負荷時間が長いにもかかわらず,MDIは有意に改善を示した。平成20年度は,この効果を組織学的に検証するとともに,その機序に関する研究を追加して実施していく予定である。
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