研究概要 |
平成18年度は,主として脊髄虚血モデル作りおよび運動誘発電位の測定系を確立することを目的として研究を進めた.脊髄虚血モデルとしては,Wistar系雄性ラット(350g)の左大腿動脈より2Frのバルーンカテーテルを挿入し,逆行性に進め左鎖骨下動脈分岐直下でバルーンを膨らませることにより大動脈を閉塞させる.同時に,あらかじめ右総頚動脈に挿入したカテーテルから自然脱血をおこない,収縮期血圧は40mmHg程度に低下させることにより,側副血行路からの血流も遮断する.目標とする運動麻痺の状態として,i)完全麻痺(下肢が弛緩している),とii)痙性麻痺(下肢は伸展硬直していて随意運動ができない)を想定し,虚血時間の調節によりそのような状態が作成できるか否かを検討した.その結果,以下のような結果を得た. 1)10分間以下の虚血では,麻痺はおこらない. 2)12分間の虚血では,多くが痙性麻痺となる. 3)14分間の虚血では,完全麻痺となる. また,運動誘発電位は麻酔薬の影響を強く受けるため,影響の少ない麻酔方法を検討した結果,ケタミンとキシラジンの持続静注法が適していることが明らかとなった.さらに,刺激方法で単発刺激ではなく5連刺激を用いることにより,運動誘発電位を確実に記録することが可能となった.次年度は計画に従い,脊髄虚血モデルでの運動誘発電位の変化を調べる.
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