研究概要 |
平成19年度はさらにフェンタニルと併用した場合の変化について調べた。 <方法>4匹のブタを用いた。イソフルラン吸入により麻酔を導入し,気管切開,人工呼吸下にイソフルランを吸入濃度2%で維持した。大腿動脈に観血的動脈測定ライン(および脱血ライン),右内頚静脈に肺動脈カテーテル,中心静脈カテーテルを留置した。脳波およびカプノグラムを持続的に測定し記録した。吸入イソフルラン濃度を以下の三つの状態(コントロール(フェンタニル投与前),フェンタニル持続投与時,フェンタニル持続投与下出血性ショック時)において変化させた(すべての状態で,吸入濃度を2%から0.5%にして25分間維持,その後2%に戻して25分間維持)。このときの呼気終末イソフルラン濃度の変化および脳波の変化を薬物力学的解析に用いた。以下の手順で実験を行った。 (1)コントロール(フェンタニル投与前)測定 フェンタニル20μg/kgボーラス投与後に10μg/kg/hrで持続投与,さらに30分間安定化。 (2)フェンタニル持続投与中測定 出血:循環血液量の40%(28ml/kg)の脱血を約30分間で行い,さらに30分間安定化。 (3)フェンタニル持続投与下出血性ショック時測定 <結果>脳波(SEF)を用いた用量反応曲線がフェンタニル持続投与によっても,その後の出血によってもEC50に変化はみられなかった。すなわち,吸入麻酔薬の鎮静効果はフェンタニル投与下における出血性ショック時でも変化しないことが示唆された。
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