研究課題/領域番号 |
18591701
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内山 昭則 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00324856)
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研究分担者 |
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50252672)
平尾 収 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10362617)
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キーワード | 人工呼吸 / 補助人工呼吸 / 横郭神経刺激 / 横隔膜筋力 / 食道癌術後管理 / プロテインC / 臓器移植術術後 / プロカルシトニン |
研究概要 |
平成19年度は下記の3つのテーマに分けICUにおける補助換気モードを使用した人工呼吸中の患者の呼吸筋障害についての検討をおこなった。(1)横隔神経経皮的刺激システムを作成した。ICUに入室した補助換気モードを使用した長期人工呼吸患者においてtwitch刺激時の気道内圧と気道閉塞時の自己発生圧との関係を検討した。両者の関係は少なく、twitch刺激法の限界が示唆された。(2)食道癌手術後の患者では呼吸筋筋力の低下が人工呼吸の長期化と関連している。補助換気モードを使用した人工呼吸中食道癌手術後の患者を対象とし、人工呼吸の長期化と関連因子を検討した。その結果、最近、注目されているプロテインCと人工呼吸期間との関係が深いことが示唆された。(3)感染症、とくに敗血症は重症患者の呼吸筋筋力の低下の原因として非常に重要である。臓器移植術術後患者は長期人工呼吸管理が必要となり、人工呼吸器からの離脱に難渋することも多い一方、易感染性であり何らかの感染症を合併することも多い。ICUに臓器移植術術後に入室し長期に補助換気モードを使用した人工呼吸管理が必要になった症例を対象とし、細菌性の感染症において近年、大変に注目されているプロカルシトニンを経時的に測定した。プロカルシトニンはCRPや白血球数と異なる推移をしめしていた。感染症患者においてプロカルシトニン値が肺障害や呼吸筋障害の発生を介して人工呼吸の長期化の関連因子となる可能性があることが示唆された。以上、残念ながら経皮的な横隔神経のtwitch刺激による筋力の測定は計測結果の再現性が乏しく、補助換気法との関連性は示すことはできなかった。Twitch刺激よりもテタヌス刺激法で今後の検討を重ねたい。また、重症患者における呼吸筋筋力の低下にも全身的な液性因子が関与している可能性があり、プロテインCやプロカルシトニンなどがICUでの人工呼吸管理と関係している可能性が示唆された。
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