研究課題
基盤研究(C)
平成18年度は横隔膜障害への人工呼吸条件の影響について検討した。28匹のラットに12時間人工呼吸を行い、吸気圧条件が筋力にどのように影響するかをしらべた。(1)対象群、自発呼吸、(2)通常条件群、調節呼吸モード80回/分、最大吸気圧8cmH_2O、吸気時間0.3秒、PEEP1cmH_2O、(3)高吸気圧条件群、調節呼吸モード80回/分、最大吸気圧18cmH_2O、吸気時間0.3秒、PEEP1cmH_2O、(4)低胸腹部コンプライアンス群、調節呼吸モードにて80回/分、最大吸気圧16cmH_2O吸気時間0.3秒、PEEP1cmH_2O。横隔膜を取り出し、in vitroチャンバー内で電気刺激を行い、筋力を測定した。テタヌス刺激時の筋力(Mean±SD)は(1)対象群19.5±1.4g/mm^2、(2)通常呼吸条件群16.3±2.4g/mm^2、(3)高吸気圧条件群は14.7±2.3g/mm^2および(4)低胸腹部コンプライアンス群12.0±1.9g/mm^2であった。吸気圧条件が高いほど横隔膜障害が強くなる可能性が示唆された。障害を小さくするためには最大吸気圧を制限することが有効である可能性がある。平成19年度は補助換気モードを使用した人工呼吸中の患者の呼吸筋障害についての検討をおこなった。(1)横隔神経経皮的刺激システムを作成し、長期人工呼吸患者において横隔神経twitch刺激時の気道内圧と最大吸気自己発生圧との関糸を検討した。両者の関係は少なく、twitch発生圧の再現性も乏しく、twitch刺激法の限界が示唆された。テタヌス刺激法で今後の検討を重ねたい。(2)補助換気モードを使用した人工呼吸中食道癌手術後の患者を対象とし、人工呼吸の長期化と関連因子を検討し、プロテインCと人工呼吸期間との関係が深いことが示唆された。(3)ICUに臓器移植術術後に入室し長期に人工呼吸管理が必要になった症例を対象とし、プロカルシトニンを経時的に測定しプロカルシトニン値が肺障害や呼吸筋障害の発生を介して人工呼吸の長期化の関連因子となる可能性があることを示した。重症患者における呼吸筋筋力の低下にも全身的な液性因子が関与している可能性が示唆された。
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日本集中治療医学会雑誌 15
ページ: 171
Intensive Care Medicine 33
ページ: S236
Critical Care Medicine 37
ページ: A172
Intensive Care Med 33
Critical Care Med 37