研究課題/領域番号 |
18591704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
五藤 恵次 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00234980)
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研究分担者 |
伊達 洋至 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60252962)
溝渕 知司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70311800)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 肺移植 / 再灌流傷害 / 肺傷害 / 人工心肺 / 血液濾過 |
研究概要 |
岡山大学は平成10年に日本で初めての肺移植を施行し成功して以来、平成19年3月までの9年間に57例(内47例は生体部分肺移植)の肺移植を施行した。我々は麻酔および術後集中治療管理を担当し、生存率は国内外で最高水準にある。しかしながら、多くの症例において移植直後から術後数日間にかけて虚血再灌流傷害が原因と考えられる呼吸不全が発生し、1週間縲恊買阜獅フ人工呼吸療管理が必要である。虚血再灌流傷害は肺移植後の死亡原因の大きな一つであり、病態は十分に解明されておらず予防方法も確立されていない。また、ほとんどの生体肺移植では人工心肺の使用が不可欠であり、人工心肺の使用により肺傷害が発生することが避けられない状況にある。近年、開心手術において、人工心肺後に体外への水分除去とサイトカインおよび炎症性蛋白の除去を目的として血液濾過法(Modified Ultrafiltration、以下MUF)が用いられ始めている。MUFは開心術後の呼吸および循環系の改善が報告されている。しかし、肺移植における使用報告はみられず、効果は解明されていない。我々は、肺移植後の呼吸および循環動態の変化と血中炎症性サイトカイン濃度を測定し虚血再灌流傷害に対するMUFの効果を検討した。血中のインターロイキン6と好中球エアラスターゼは人工心肺中に有意に上昇し、人工心肺終了後のMUF後においても好中球エラスターゼは高値が持続しインターロイキン6は終了後さらに増加した。MUFはインターロイキン6の上昇を有意には抑制せず、インターロイキン8や好中球エラスターゼの血中濃度を有意に低下させる効果も認められなかった。しかし、MUF施行により血行動態は改善し移植後のグラフト肺機能も良好に保たれた。生体肺移植手術において、人工心肺後の血液濾過(MUF)は、人工心肺および移植後の再灌流肺傷害を軽減させる効果を有することが示唆された。
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