研究課題/領域番号 |
18591705
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松三 昌樹 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (70219476)
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研究分担者 |
高橋 徹 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40252952)
森松 博史 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30379797)
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
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キーワード | MODS / 酸化ストレス / ヘムオキシゲナーゼ / ヘム / ビリルビン / 一酸化炭素 / 連続呼気ガス測定 / SIRS |
研究概要 |
周術期管理学の発達にも関わらず術後の多臓器機能不全(Multiple Organ Dysfunction Syndrome:MODS)の死亡率は依然として高く、しかもその治療には膨大な医療費が費やされる。しかし、MODSに対して現在適切な治療がなされているとは言い難い。その原因の一つとして病態を的確に捉える指標が無いことがあげられる。MODSでは過剰な全身性炎症反応(Systemic Inflammatory Response Syndrome:SIRS)にともない好中球が活性化される。MODSの病態にはこの活性化された好中球が発生するフリーラジカルによる酸化ストレスが細胞傷害の最終攻撃因子大きな役割を果している。しかし、酸化ストレスを非侵襲的に簡便かつ連続的にモニターする指標は未だ無い。 ストレス蛋白HO-1は酸化ストレスにより誘導され、その酵素反応によりヘムを分解し、一酸化炭素(CO)、ビリルビンを生成する。したがって生体内では微量ではあるがCOが産生されている。この内因性のCOは細胞から血中に遊離しCOヘモグロビンとなって肺に運ばれ、呼気から排出される。 そこで。申請者らは、岡山大学医学部歯学部附属病院集中治療部入室の人工呼吸中の重症29症例を対象に、新たに開発された呼気CO濃度測定装置を用いて呼気COレベルを測定し、同時に血中COヘモグロビンと血清ビリルビン濃度を調べた。その結果、これらの指標がMODS症例で上昇し、かつ呼気COレベルとCOヘモグロビン・ビリルビン間に正の相関があることを明らかとなった。また、総ビリルビンより間接ビリルビンの方がより相関し、内科系症例が外科系症例に比べてより良い相関を示した。このことより、重症症例における呼気COレベルの上昇が内因性HO-1のヘム分解反応によるものであることが示唆された。
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