研究課題/領域番号 |
18591708
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤田 隆 九州大学, 大学病院, 講師 (10260382)
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研究分担者 |
瀬戸口 秀一 国立病院機構, 九州医療センター, 医師 (20325525)
森川 敬子 国立病院機構, 九州医療センター, 医師 (60419603)
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キーワード | 血管平滑筋 / 血管内皮 / 静脈麻酔薬 / 吸入麻酔薬 / 交感神経系 / ノルアドレナリン / 移植医療 |
研究概要 |
移植対象臓器血管である腸間膜動脈、肝動脈、腎動脈に対する種々の静脈麻酔薬や吸入麻酔薬の直接作用に関して検討を行った。具体的には、交感神経伝達物質ノルエピネフリン(NE)に対する収縮反応や膜電位依存性Ca^<2+>チャネル活性化を伴うKCl収縮反応に対する各薬物の効果を検討した。肝動脈や腎動脈に関する研究はまだ基礎段階にあり、その成果の公表は時期尚早であることから、ここでは既に論文投稿段階にある腸間膜動脈に関する研究の成果を報告する。 高齢者において特にその循環抑制作用が問題となるエトミデート、ケタミン、ミダゾラム、イソフルラン、セボフルランのNE収縮反応に対する効果を若齢ラットと高齢ラットで検討し、比較した。エトミデート、ケタミン、イソフルラン、セボフルランは内皮機能が正常な若齢ラット血管においては、NE収縮反応を内皮依存性に臨床関連濃度で増強したが、内皮除去若齢ラット血管や内皮機能が低下した高齢ラット血管では増強は観察されなかった。従って、これらの麻酔薬は、移植小腸血管をNE刺激下(例:浅麻酔下)では収縮させ、移植小腸への血流を低下させる可能性が示唆された。また、高齢者において循環抑制作用がより強く出現する機序の一つとして、NE収縮反応増強作用の抑制が考えられた。脳保護目的でも投与されるエトミデートの腸間膜動脈に対する直接作用に関して、平成18年度に引き続いて検討した。平成18年度までの研究において、そのNE収縮反応に対する直接抑制作用は、細胞外からのCa^<2+>流入の抑制に起因する細胞内Ca^<2+>濃度低下と収縮蛋白系Ca^<2+>感受性の抑制の両者に起因することが明らかとなっていたが、平成19年度の研究により、Ca^<2+>流入抑制にはKATPチャネルは関与しないこと、また収縮蛋白系Ca^<2+>感受性抑制にはRho-kinase経路への抑制が関与し得ることが明らかとなった。
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