平成18年度は、準備実験として以下の実験を行った。 1.雄性SDラットにおける炎症性痛覚過敏モデルとしてカラゲニンモデルを作成し、炎症性浮腫の定量、侵害輻射熱を用いた痛覚過敏の定量を行い、安定した結果を得ることができた。またノックアウトマウスを用いた実験を行う準備段階として、マウスにおいてもこれらの実験を行った。 2.カラゲニン注射後、ラットの脳脊髄液および血液を採取して、検体を急速冷凍保存しIL-1β、TNFα、IL-6などのサイトカインの定量をELISA法で経時的に行った。その結果カラゲニン注射6時間後、IL-6の血漿中レベルが有意に上昇していた。ほかの炎症性サイトカインは全経過を通じて測定感度以下であった。脳脊髄液中のサイトカインの測定は手技的に改善すべきものがあると考えられる。本年度以降、再検討する予定である。プロスタグランディンE_2の脳脊髄液中濃度はカラゲニン注射3時間後より上昇し6時間後には最高濃度に達し、以後漸減した。 3.炎症局所におけるサイトカイン産生細胞の同定を行うために、炎症側および対側の足を深麻酔下に採取し、凍結保存、免疫組織化学に使用した。その結果、マクロファージ様細胞、線維芽細胞様の細胞などが示唆されたが、二重免疫組織化学法を用いて詳細な細胞同定を行う必要がある。 4.中枢神経血管内皮細胞の摘出を行った。培養を今後行う。 以上が平成18年度の研究実績の概要である。
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