平成20年度は引き続き、Lipopolysaccharide(LPS)により誘導されたラット敗血症モデルに対し、早期よりoxytocinを投与することで、敗血症の心機能を維持し、循環動態を改善し得るかを検討した。 【方法】ラット20匹(Wister系、雄、280〜330g)を、pentobarbital麻酔下に内頸動静脈にカニュレーションし、気管切開後、人工呼吸管理した。輸液は、生食を12ml/kg/hrで投与した。さらに、圧センサー付コンダクタンスカテーテルを、心室内に挿入した。その後、LPS10mg/kgを静注し、oxytocin投与群(15IU/kg静注後、10IU/kg/hrで持続静注)、生食投与群の2群に無作為に分けて管理した。心機能測定は、LPS投与前と投与後1時間ごとに6時間行なった。また、2時間ごとに採血し、乳酸値を測定した。統計学的解析は、反復測定分散分析を用いて行いp<0.05を有意差有りとした。 【結果】心拍出量(CO)はoxytocin投与群で高く維持されたが、有意な差を認めなかった。最大心室内圧(Pmax)、 Cardiac work(=Pmax×CO)、はともにoxytocin投与群で有意に高く維持された。乳酸値は、oxytocin投与群で有意に改善した。 【結語】oxytocin投与は、敗血症モデルの心機能を維持し、循環動態を改善することが示された。Oxytocinは、すでに臨床使用されているホルモンであり、今後敗血症治療の循環動態維持に対する治療薬として期待される。
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