研究課題
基盤研究(C)
侵害受容性の一次感覚神経には何種類かの神経ペプチドが含まれている。代表的なものとして、サブスタンスP(SP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、ソマトスタチン(STT)などがある。しかしながら、これらの神経ペプチドの後角ニューロンに対する生理作用についてはほとんど知られていない。我々はラット脊髄の新鮮スライス標本を用い、ブラインド・パッチクランプ法により神経ペプチドの深層ニューロンに対する膜電位応答について検討した。SP(1μM)のbath applicationは、後角深層の約60%のニューロン(42/68 cells)にslow inward currentを誘導した。このslow inward currentは、記録しているニューロンにSPが直接作用したものと考えられている。CGRP(1μM)のbath applicationもまた、約30%のニューロン(42/68 cells)にslow inward currentを誘導した。しかしながら、このinward currentの大きさはSPのそれと比較して小さいものであった。一方、STT(1μM)のbath apphcationは、後角深層の約30%のニューロン(7/22 cells)にslow outward currentを誘導した。CGRPとSTTによるslow inward currentもしくはslow outward currentは、テトロドトキシン(TTX)存在下においても記録できた。つまり、記録しているニューロンに直接、これらの神経ペプチドが作用したことを意味する。これらの結果は、脊髄後角においてSPとCGRPは興奮性に、STTは抑制性に作用し、侵害性情報の伝達にこれらの神経ペプチドが参画していると考えられる。
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Nova Science Publishers, Inc. New York Part I, Chapter 2
ページ: 25-40